旦那を信用できないのは病気?疲れた・苦しい時の対処法と向き合い方
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「あんなに好きで結婚したのに、出産してから夫の顔を見るだけでイライラする」「些細な一言にカッとなって、あとで自己嫌悪に沈む」——赤ちゃんはかわいいのに、夫への気持ちだけが冷えていく。そんな自分に戸惑っていませんか。
その状態には「産後クライシス」という名前があります。あなたの性格の問題でも、愛情が消えたわけでもなく、産後の夫婦の多くが通る「時期」なのです。
この記事では、産後クライシスの意味といつまで続くのか、状態を振り返るチェックリスト、すれ違いの原因、夫側・妻側それぞれができることをまとめました。パートナーに「これ読んで」と渡せる内容にしてあります。
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目次

産後クライシスとは、出産をきっかけに夫婦の愛情やパートナーシップが急速に悪化する現象を指す言葉です。2012年9月にNHKの情報番組「あさイチ」が特集で取り上げたことをきっかけに広まり、翌2013年には取材にあたったNHKの記者・ディレクターによる書籍『産後クライシス』(内田明香・坪井健人著、ポプラ新書)も出版されました。
医学的な病名ではなく、「産後に夫婦関係が壊れやすい時期がある」という現象に名前がついたものです。病名ではないからこそ、「私たち夫婦だけがおかしいわけではない」と知ることが最初の一歩になります。
裏付けになるデータもあります。ベネッセ教育総合研究所の「妊娠出産子育て基本調査・フォローアップ調査」では、「配偶者といると、本当に愛していると実感する」と答えた割合が、妊娠期には夫婦とも74.3%だったのに対し、子どもが0歳の時期の妻では45.5%まで下がっています。一方、夫の同じ回答は子どもが2歳の時点でも51.7%と、妻に比べて下がり方がゆるやかでした。つまり、産後は「妻の気持ちが先に、大きく冷える」——このズレこそが産後クライシスの正体です。
明確な定義はありませんが、産後から子どもが2〜3歳になる頃までが夫婦関係の悪化しやすい時期とされています。特に産後数週間〜1年は、ホルモンバランスの急変と睡眠不足が重なる、いちばん荒れやすい時期です。
逆に言えば「期間限定」の側面もあり、この時期の乗り越え方次第で、夫婦の信頼はむしろ深まります。
産後クライシスと混同されやすいのが「産後うつ」です。この2つは別物です。
「夫にイライラする」だけでなく、気分の落ち込みが一日中続く、眠れない、涙が止まらない、赤ちゃんをかわいいと思えない——そんな状態が2週間以上続いているなら、夫婦関係の問題として抱え込む前に、産婦人科や心療内科、自治体の産後ケア窓口に相談してください。詳しくは後述の「限界のサイン」でも触れます。

自分の状態を振り返るための目安です。医学的な診断基準ではありません。
【妻向け:10項目】
【夫向け:妻からのサインチェック 5項目】
妻向けで5個以上当てはまるなら、産後クライシスの渦中にいる可能性が高い状態です。10番に心当たりがある方、また涙が止まらない・眠れないなど心身の不調が続いている方は、「限界のサイン」の章を先に読んでください。
夫向けのサインが3個以上なら、妻の我慢はすでにかなり積み上がっています。「うちは平和」に見えるのは、妻が言うのを諦めただけかもしれません。

産後クライシスは、どちらかの人格や愛情不足で起こるものではありません。産後の夫婦に構造的に降りかかる、3つの変化の掛け算です。
出産を境に、妊娠中に増えていた女性ホルモンが急激に減少します。この急変が、産後の情緒の揺れやイライラに影響すると考えられています。そこに追い打ちをかけるのが、数時間おきの授乳による慢性的な睡眠不足。ホルモンと睡眠を同時に崩された状態は、誰であっても穏やかではいられません。
「夫に優しくできない自分は性格が悪い」のではなく、体がそういう状態にあるということ。まずここを、夫婦ともに知っておく必要があります。
産後、妻の生活は一変します。自分のペースで眠る・食べる・トイレに行くことすら難しくなり、24時間、命を預かる緊張の連続です。一方で夫の生活は、仕事を含めて出産前とあまり変わらないことが多い。この「変化量の差」が、そのまま不公平感になります。
もっとも根深いのがこれです。夫は「オムツも替えているし、風呂も入れている。結構やっている」と思っている。妻は「言われたことをやっているだけで、考えているのは全部私」と思っている。作業は分担できていても、「次の予防接種はいつか」「離乳食をどう進めるか」といった段取りと判断が妻に集中したままだと、妻の疲労感は伝わりません。
先ほどのベネッセ調査が示すとおり、産後に気持ちが先に冷えるのは妻側です。夫が「うちは大丈夫」と思っている間に妻の愛情が下がっていく——この時間差が、産後クライシスをこじらせる最大の要因です。

産後クライシスの回復がどちらの行動にかかっているかといえば、正直なところ夫側の比重が大きいです。妻は現状、行動を変える余力がありません。
「手伝おうか?」は、育児の主担当が妻であることが前提の言葉です。聞かれるたびに妻は「指示出し」という仕事が増えます。夜のミルクは自分、朝の保育園準備は自分、と「聞かなくても回る担当」を持ってください。
産後のイライラの多くは、睡眠不足で増幅されています。週末どちらか半日でも「全部やるから寝てて」を実行するだけで、妻の状態は目に見えて変わります。
妻の愚痴に「こうすれば?」と返すのは逆効果になりがちです。求められているのは解決策ではなく、「大変さを分かっている」という実感です。まず「そうだったんだ、それは大変だ」で受け止めてください。
「言わなくても分かるだろう」は、産後の夫婦では通用しません。「いつもありがとう」「よくやってくれてるよ」を口に出す。ゼロコストで、効果は大きい行動です。
妻の変化に戸惑い、「何をしても怒られる」と疲弊する夫も多いのが産後クライシスです。気分の落ち込みが続くなら、夫側も一人で抱えず誰かに話してください。我慢比べにしないことが、結果的に夫婦を守ります。
「妻が直すべき」という話ではありません。余力が出てきたときに、すれ違いを小さくするためにできることです。
つらいとき、「言わなくても気づいてほしい」と思うのは自然です。ただ、残念ながら多くの夫は察しません。「オムツ替えて」「30分だけ抱っこしてて」と具体的なタスクで渡すほうが、お互いの不満が残りません。
夫にカッとなったとき、「私はいま、ホルモンと寝不足で沸点が下がっている」と一歩引いて言葉にできると、感情に飲み込まれにくくなります。イライラの何割かは夫個人ではなく、状態が生んでいるものです。
オムツの付け方が甘い、服のセンスが謎——気になっても、やり直しやダメ出しを重ねると、夫は「どうせ怒られる」と育児から降りていきます。命に関わらないことは目をつぶって任せる。夫を「戦力」に育てることは、数カ月後の自分を助けます。
不満を全部夫にぶつけると、夫婦関係の消耗戦になります。友人でも、親でも、第三者でも構いません。気持ちを外に逃がす回路をひとつ持っておくと、夫に向かう圧が下がります。
夫への気持ちがわからなくなったとき、身近な人には案外話しにくいものです。エキサイトお悩み相談室には、産後の夫婦関係の悩みを聞いてきたカウンセラーが在籍しています。「愚痴なのか相談なのか、自分でもまだ分からない」——その段階の話で構いません。
乗り越えた夫婦の話に共通するのは、「愛情を取り戻そう」と頑張ったのではなく、すれ違いの構造を小さくする工夫を淡々とやっていたことです。
どれかひとつ、今日からできそうなものを選んでみてください。
※夫婦関係の立て直しを本格的に考えたい方は、夫婦再構築の記事も参考になります。
次のような状態は、「産後はみんな大変だから」で流していい段階を越えています。
【妻自身の心身のサイン】
これらは産後クライシス(夫婦の問題)ではなく、産後うつをはじめとした心の不調のサインかもしれません。その場合に必要なのは夫婦の話し合いより先に、専門家によるケアです。産婦人科や心療内科の受診、あるいはお住まいの自治体の産後ケア窓口で、つらさをそのまま伝えてみてください。1カ月健診の質問票に正直に答えることも、立派なSOSの出し方です。
【夫婦関係のサイン】
体調の問題は医療の領域、「夫婦がこれからどうするか」「たまった気持ちをどう整理するか」はカウンセリングが受け持つ領域です。二人で話すと感情的になってしまう段階こそ、第三者を挟む意味があります。
A. 一般に、産後から子どもが2〜3歳になる頃までが悪化しやすい時期とされています。ただし自然に元へ戻るとは限らず、すれ違いを放置すると冷えた関係のまま固定されることもあります。期間限定の時期と捉えつつ、小さな手当てを重ねることが大切です。
A. どちらかが悪いという問題ではありません。ホルモンの急変・生活の激変・認識のギャップという構造が原因であり、妻のイライラはその結果です。同じように「夫が悪い」と断罪して終わらせても解決しません。責任探しをやめて構造に手を入れることが、いちばんの近道です。
A. 産後クライシスで疲弊するのは夫側も同じです。まずは「妻の沸点が下がっているのは自分への評価ではなく状態のせい」と切り分けてください。そのうえで、正解の行動を探すより「どうしてほしいか」を落ち着いたタイミングで聞くほうが早く伝わります。夫側がカウンセラーに話を整理しに来るケースもあります。
A. 気分の落ち込みや不眠など心身の不調が続く場合は、出産した産婦人科か心療内科が入り口になります。「産後クライシス」という診断名はありませんが、産後の心身の不調として相談できます。自治体の産後ケア窓口や健診の場で相談するのも一つの方法です。
A. 程度の差はあれ、産後に夫婦関係が揺れること自体はとても多いものです。ダメージが小さい夫婦に共通するのは、産前から家事育児の分担を話し合っていることと、不満を溜めずに小出しにできる関係であること。「ならない」より「浅く済ませる」を目指すのが現実的です。
A. 産後クライシスの渦中は、ホルモンと睡眠不足で判断力そのものが揺れている時期です。この時期の「無理かもしれない」は、関係の結論ではなく疲労のサインであることも多くあります。大きな決断はいったん保留して、まず気持ちの整理と体制の立て直しから始めることをおすすめします(参考:夫婦再構築の記事)。

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産後の夫婦関係のすれ違いといった悩みから、深い心の問題まで幅広く対応可能です。

エキサイトお悩み相談室にお寄せいただいている口コミを紹介します。
あなたと同じように、カウンセリングを受けるか悩んだ末に試してみた相談者の声とカウンセラーへの感謝の内容を、チェックしてみてください。
いま夫に向いているイライラは、「この大変さを分かってほしい」という叫びの形を変えたものかもしれません。敵は隣にいるパートナーではなく、二人に降りかかっている状況のほう。そう思えるきっかけが必要なら、第三者に話すことから始めてみてください。
山田 久実子
プロフィールを見る日本心理学会認定心理士。保育士として20年の経験を持ち、自治体の健康推進課で心理相談員として子育てや家族に関する相談に従事。保護者カウンセリングや学習塾運営、大学非常勤講師としての活動など幅広い経験を生かし、親子関係や家族関係、心の不調まで一人ひとりの状況に合わせた心理支援を行っている。
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