悪くない人生だったと思えるよう、虚しい気持ちを何とかしたい。

カウンセラーの回答

最期の一瞬までくまさんらしく生きてください！

くまさん。
はじめまして。伊藤菜緒子（いとうなおこ）と申します。
勇気を出して、力を振り絞って書かれた相談だと思います。
くまさんのメール、何度も何度も拝見しました。
一文一文に深い想いが込められていると感じました。

くまさんの、
「短かったけれどそう悪くない人生だったと思って死ねるようにしたい」
という強い想いにどうしてもお答えしたくて、お返事を書かせて頂きます。

まず、よくご自分の状況・お気持ちを打ち明けてくださったと思います。
ありがとうございます。
くまさんの文面から、真面目で誠実に生きてこられた、
気遣いのできるとても優しい方なのだと感じました。

くまさんは今、ご自分の寿命があと数ヶ月ということを知った状況で、生きていらっしゃるのですね。
まだ若いのに、なぜこの年齢で死ななくちゃいけないのか、と寿命を受け入れ難く思っているのですね。
そして今、虚しさを感じているのですね。
バカが付くほど真面目に努力して、一生懸命生きてきたのに、、と。

苦しいだろうなあと思いました。
何度も何度も押し寄せる死の恐怖を押さえ込み、ひとり枕をぬらし、周りを動揺させないようにと気遣い、
それでもまた押し寄せる恐怖とひとり戦い、平静を装っているくまさんを想像しました。
ぐるぐるといろんな想いが頭を駆け巡り、眠れない夜もあるでしょう。
それは、虚しくなるのも当然です。

私も、病床で「死ぬの怖いよ」と叫びたかったけれど、
周りを心配させないように「大丈夫だよ」と笑っていた経験があります。
自分の気持ちをごまかして、ひっそりこっそり過ごしていました。
だけど、どこかで、私の気持ちわかって！誰か聴いて！
と思っていました。

くまさんは、今、そのような状態なのかなと思いました。
よくひとりで堪えてこられましたね。
もう、ひとりだけで頑張らなくていいのですよ。

くまさんの、今の本当の気持ちはどんな気持ちですか？
心の底から叫びたい声はどんな声ですか？

死ぬの怖いよ。
私どうなっちゃうの？
死にたくないよ。
生きていたいよ。
どうして私なの？
苦しいよ。
みじめだよ。
辛いよ。
誰か助けて。
抱きしめて。

こんな気持ちがあるのではないですか？
ずっとこの気持ちをくまさんひとりで抱えてこられたのではないですか？
とっても苦しかったですね。

だってこれを言ってしまったら、周りの人が悲しんでしまうと思うから、ずっとひとりで耐えてこられたのでしょう。
そして、なるべく迷惑にならずに死んでいきたいと思ってらっしゃるのではないかと感じました。
ご自分の本当の気持ちや感情を押さえつけて、じっと我慢して、死ぬのを待っているような感じがしました。
けれどもそれは、あまりにも私は寂しいし悲しい気持ちになりました。
悔しくもなりました。

くまさんが、
この気持ちを感じずにいられたらどんなに楽だろう。
この気持ちを感じずに幸せな気持ちで死ねたらどんなに楽だろう。
と思っているかもしれないなとも思います。
そのお気持ちもよくわかります。

でも、無理矢理気持ちに蓋をしても、溢れ出てくる虚しさ。
やりきれない思い。
自分がやりたい事を諦めてきたから自分が悪いという自責感。

もうどうしようもなくて、なんとかしたくて、
助けて！とメールをくださったのですよね。

それは、「生きたい」と私には聴こえましたよ。
嬉しかったです。

くまさんが、悪くない人生だったと思って生を終えるためには、
ドロドロになってもいいから、自分の気持ちを正直に感じ、
一瞬一瞬を生き抜くことだと、私は思います。
人間らしく、くまさんの今の気持ち、出し切ってみてください。
思いっきり。
ご家族でもいい、お友達でもいい、恋人でもいい。
本気で気持ちをぶつけてみてください。
その姿に人は心揺さぶられ、自分も生きていることを実感するのだと思います。
どんな状況にあっても、くまさんの存在自体が、人に何か伝えているのですよ。

４５年前、くまさんはこの世に生まれてきてくれましたよね。
その日、どんなことが起きたでしょうか？
あなたをだっこして喜んだのはどなたでしょうか？
「あなたが生まれてきてくれた」
それ自体が、くまさんの存在自体が、
周りの皆を幸せにしましたね。
泣いて喜ばれ、怒って喜ばれ、叫んで喜ばれ、
立って転んで喜ばれたように、あなたが何をしても
皆はあなたの存在が嬉しかったはずです。

それは、今も変わりません。
「あなたが存在している」
それだけで、周りの皆は幸せです。
十分です。
くまさんが 病気でも、笑っていても、泣いていても、怒っていても、
叫んでも、喧嘩になっても、あなたという存在に感謝しているはずです。
だから、おもいっきり、くまさんのままで、くまさんらしく、
感じたままにいてください。


そして、くまさんは、今までどんな人に出逢ってこられましたか？
どんな人が周りにいらっしゃいますか？
どんな人の顔が目に浮かびますか？

くまさんは、その方々にとても愛されています。
それは、あなたが心から愛してきたからです。

その最も愛している人達に、くまさんの想いを伝えるとしたら、
何を伝えたいですか？
どうしても伝えたいことは何ですか？
まだ言葉にしていないこと、伝えたいことを、自分の心に正直になって書き出してみてください。
そして、勇気を振り絞って、伝えてください。
くまさんの言葉で、どんな方法でも構わないですから。


人間誰しも、明日生きている保証のある人は一人もいませんね。
だからこそ、後悔のないように、今思っている気持ちを
伝えていくことがとても大事だと私は思っています。
そして、いつ終わるかわからない人生を一瞬一瞬生きているのだと思います。
最期まで生き抜くのだと思います。

生きている最期の一瞬まで、くまさんらしく、これでもかというほど命を燃やして欲しいと願います。
そして、私は、くまさんが奮闘しながら生きている姿を想像してここで喜んでいます。

縁あって、出逢えたこと、一緒に時を刻めたこと、
とても嬉しく思っています。
感謝します。
くまさんの人生、生き生きとした一瞬一瞬でありますように。
命輝いて、過ごせますように。
心から祈っています。

伊藤菜緒子